診療内容Medical Treatment Contents
小児耳鼻咽喉科
「見える診療、伝える診療」は
お子さんにこそ重要
勤務医時代は八尾市立病院や大阪府立母子保健センターで、小児の耳鼻咽喉科疾患をたくさん経験してきました。
お子さんの診察で大事なのは、子供だからといって子供扱いせず、きちんと説明し、信頼してもらえるように接することと考えています。時には処置で少し痛いこともあるかもしれませんが、その時にも嘘はつきません。「少し痛いけど、頑張ってね」と説明し、治療を頑張ってくれた時には「頑張ったね」と一緒に喜びたいと思います。
お子さんの診断は少し覗いただけでは難しいものです。そのため、当院では顕微鏡やファイバースコープで詳細に観察し、正確な診断を目指します。そして、実際の状態や検査結果をモニターに表示して、今後の治療方針や予想される経過などについて、ご家族の方にわかりやすく説明します。
当院のモットーである「見える診療、伝える診療」はお子さんにこそ重要であると考えています。
当院の特徴
- ◎モニターに鼓膜やのどの状態を表示して、わかりやすい説明を行います。
- ◎空気清浄機・内視鏡洗浄器・オートクレーブ(高圧蒸気滅菌機)などを導入し、院内の清潔・医療器具・機器の消毒を徹底し、安全で安心できる医療を行います。
- ◎小児の鼻処置では、完全滅菌した吸引管にて処置を行います。ネラトンカテーテルなど、完全滅菌ができない器具を再利用することはありません。
- ◎絵本やおもちゃなどは感染源になる可能性があるため、設置しておりません。
お子さんの診察方法について
-
①荷物は荷物入れに置いて
ください。②保護者はしっかりと奥まで
深く座ってください。 -
③お子さんは太ももの上に
深く座りましょう。 -
④足でお子さんの足を
はさんでください。 -
⑤腕でお子さんの腕の上からしっかり抱いて、手を持ちます。
⑥お子さんは前を向いたままで、頭はスタッフが固定します。
⑦耳→鼻→のどの順番で診察を行います。
小児は鼻処置が大事
お子さんの鼻水は色々な問題を引き起こします。鼻水をすすって、鼻の奥と鼓膜の向こう側をつないでいる耳管という管から、鼻水や細菌が中耳内に入り込んで中耳炎を起こしたり、鼻水が寝ている間にのどに流れ込んで気管支炎やぜんそくのきっかけになったりします。そのため、根気よく鼻の処置を行い、鼻の状態をよくすることが重要です。
当院では、痛みなく、しっかり鼻水を吸引できるように、ガラス製で先端が丸くなっているオリーブ管で吸引した後、さらに先が細いシリコン製のアマツ式吸引管という柔らかい管で鼻の奥までしっかりと吸引します。
通院して、鼻の吸引とネブライザーで楽になることを実感した子供達は、自分から診療イスに座って、鼻を吸ってもらおうとするようになります。
小児の睡眠時無呼吸・
いびきについて
私は小児の睡眠時無呼吸に対する治療を、母子保健センター勤務時代を含め、ライフワークとして取り組んでいました。
下のような大きな扁桃を見ると、「イビキをかいていませんか?」とたずねてしまいます。
小児の睡眠時無呼吸は、
- ①顎顔面骨発達の低形成
- ②深睡眠時の成長ホルモン分泌が安定しないことによる発育障害
- ③睡眠不足による、知能・集中力・記憶力の低下に伴う学習障害
- ④それによる青年期の学力低下
などをもたらすことが知られています。例えば、近年アメリカで小児に対する扁桃摘出術症例の8割近くは、閉塞性睡眠時無呼吸に対する適応で実施されています。
小児期の睡眠時無呼吸やイビキは多くの場合、扁桃肥大とアデノイド肥大による閉塞性のものですので、手術治療によって改善することがほとんどです。右下は扁桃摘出術後の写真です。
このような症状があれば
ご相談下さい。
寝ている時に
- □ 大きなイビキを繰り返す
- □ 呼吸が数秒止まる
- □ 眠りが浅く、何度も起きる
- □ 座らないと眠れない
- □ いつもうつむきで寝ている
- □ 陥没呼吸(呼吸時に胸がへこむ)
- □ 夜尿が多い
日常生活で
- □ 口呼吸である
- □ 寝起きが悪い
- □ 日中の眠気がある
- □ 日中に居眠りする
- □ 毎日昼寝する
- □ 集中力が低下している
OSA-18問診表で合計50点を超えるようでしたら
睡眠時のイビキや無呼吸に注意して観察してみてください。
小児の滲出性中耳炎について
聞こえにくくなったり、耳の詰まった感じの症状が出ます。ただし痛くありませんので、お子さんの場合、ずっと聞こえにくいにもかかわらず、その状態になれてしまい、長い間気づかれないことがあります。
診断は、鼓膜を観察して、鼓膜の向こう側の中耳という空洞に液体が貯まっているかどうか判断(写真)します。また、聴力検査で難聴の程度を確認し、ティンパノメトリーで鼓膜の動きを確認します。
治療は、鼻症状を軽減することがとても重要です。まずは、鼻処置やネブライザーや飲み薬などの治療を行います。3ヶ月位、これらの治療を行っても改善しない場合は、鼓膜チューブ留置術(写真)などの外科的な治療を検討する必要があります。外来でチューブ留置術が難しければ、全身麻酔下に行う場合もあります。
「きこえ」だけではなく、
中耳の発育が重要
滲出性中耳炎は、きこえだけではなく、中耳腔の発育を阻害します。中耳腔の発育は9歳までにほぼ完了しますので、それまでに鼓膜の向こう側に何も溜まっていない、よい状態を整えることが重要です。
小児のアレルギー性鼻炎について
はじめに
アレルギー性鼻炎の患者さんが増加しています。
大人では50%近い罹患率になっており、子どもでも、小6時点で疾病率は33%となっていて、20年前の2倍近くなっています。
学業や睡眠などへの支障があるため、対応が必要です。また、小児の場合、鼻出血を繰り返す原因がアレルギー性鼻炎の場合もあります。
診断
内視鏡検査:鼻汁の性状や鼻づまりの程度を調べます。
採血:アレルギーの原因や血中の好酸球を調べます。(採血が難しい小児の場合、極細の針を一瞬指先に刺して血液を約1cc採取し、約15分で結果がわかる簡易検査キット(イムノキャップラピッド)があります )
治療
- ・アレルギーの原因の除去
- ・鼻処置やネブライザー加療
(小児の場合、処置も有効です) - ・抗ヒスタミン薬や点鼻薬を
重傷度に応じて処方します。 - ・スギ・ダニに対しては舌下免疫療法も
選択肢になります。
小児の副鼻腔炎について
特徴
小児の副鼻腔炎は細菌性の急性副鼻腔炎であることが多く、副鼻腔炎を繰り返すことが多い場合は、抗生剤の効きにくい耐性菌が原因だったり、アレルギー性鼻炎を合併していることがある。
検査
鼻や咽頭の診察:のどの奥に鼻汁が流れているかを観察します。
内視鏡検査:鼻汁の性状やアデノイドを観察します。
細菌検査:耐性菌が疑われる場合に行います。
レントゲン:治りが悪い場合に撮影することがあります。
治療
薬 :抗菌薬(マクロライド療法ふくむ)・粘膜正常化剤・抗アレルギー薬・点鼻薬など。
処置:鼻汁吸引の上、ネブライザーで霧状の薬を鼻や副鼻腔に到達させます。
だいじなこと
- ・治りにくい場合は、アレルギー性鼻炎やアデノイド肥大や耐性菌などを考えて、追加の検査が必要になる場合があります。
- ・鼻の吸引やネブライザーで鼻の中の状態を整えていくことがお子さんの場合はとくに有用です。
受診に際して
こんなことで受診しても
いいでしょうか?
- 鼻水を吸ってほしい
- 耳あかを取ってほしい
- インフルエンザかどうか検査してほしい
- アレルギーの検査をしてほしい
- 鼻血が続いている
「この程度で受診していいのでしょうか?」とよくお聞きしますが、どれも保険診療として認められている処置・検査です。
ご心配でしたら、遠慮なくお越しください。
子どもの風邪は、どこを
受診したらいいですか?
「鼻かぜ」「のどかぜ」とよく言われるように、鼻からのどにかけての気道の炎症がおきることが多いです。耳鼻咽喉科では、鼻やのどを専門としていますので、耳鼻咽喉科を受診していただければと思います。
ただし、咳が強いときや、痰が多くて肺炎が疑わしいとき、喘息などの持病をお持ちの場合や、腹痛や下痢などのおなかの症状があるとき、皮疹(湿疹)が出ているときなどは、まず小児科で診てもらうと良いでしょう。
ただし、中耳炎や副鼻腔炎(ちくのう症)を繰り返すお子さんは、風邪をきっかけに悪くなることもあるので、気になることがあれば、耳鼻咽喉科でもご相談ください。
何歳から受診できますか?
生まれたばかりのお子さんから診察しています。乳幼児のお子さんでも痛くないような鼻吸いのチューブがありますので、どうぞご安心ください。
子どもが小さいので、
待ち時間が気になります。
再診の方はスマホやWebからの順番受付を採用しています。待ち時間や待ち人数が確認できますので、ぜひご活用ください。
子どもが泣いたり、
怖がったりするのが心配です。
とくに、初めて診察をするお子さんは不安に感じているものです。でも、ご家族の方が不安に思っていると、お子さんはより不安に思ってしまいます。ドーンとお任せください。お子さんと話をしながら、少しずつ処置を行ったり、頑張るところは頑張ってもらったり、お子さんにあわせて診察していきます。頑張って診察が終わったときには、全力で褒めてあげてください。そうすると、お子さんの恐怖心も消えて、安全に治療を続けていくことができます。お子さんの診察にはご家族の協力が欠かせませんので、一緒にがんばっていきましょう。
子どもが鼻血を出したら
どうすればよいですか?
あわてずに、鼻の中に何も入れずに両鼻の入り口の膨らんでいるところをしっかりと押さえましょう。下を向きながら、口の中に流れてくる血は飲み込まずに、出してしまいましょう。一度押さえ始めたら、10分程度押さえ続けるとほとんどの場合は止まります。止まりにくかったり、ご心配なようであれば、お気軽にご相談ください。
補聴器外来
はじめに
作製した補聴器をただ装用するだけでは、役に立つ補聴器にはなりません。装用開始前の適切な検査、装用時の指導と、試聴期間中のきめ細かい調整が必要です。
補聴器適合検査の施設基準を満たしており、補聴器適合検査認定施設である当院では、補聴器相談医による専門的な診察で、認定補聴器技能士とともに、ひとりひとりに最適な補聴器を見つけていきます。
当院の補聴器外来の特徴
- □ 補聴器相談医(耳鼻咽喉科専門医)の診察があります。
- □ 補聴器試聴前に聴力評価の事前評価を行います(保険診療)。
- □ 低価格帯の補聴器から試聴を開始します。
- □ 充分な試聴期間を取ります(2-3ヶ月)。
- □ 場合によって、複数メーカーの補聴器の試聴を行います。
- □ 認定補聴器専門店の認定補聴器技能者による調整があります。
- □ 補聴器適合検査(保険診療)により、補聴器装用評価を行います。
これらを真摯に行うことで、近年増加しているような補聴器購入についてのトラブル(国民生活センターの報告)は、防止できると考えています。
補聴器外来の流れ
-
耳鼻科
一般診察難聴の診断・治療。他の病気がないか。補聴器が必要か、効果があるかどうか検討します。
-
補聴器用の
特殊聴力検査語音聴力検査などを行い、補聴器装用の効果を検討します。
-
試聴と
補聴器調整の
ための検査2~3ヶ月の長期間、貸出試聴期間を設け、調整を繰り返します。
補聴器購入が医療費控除の
対象になりました
・補聴器適合検査認定施設
当院は補聴器適合検査認定施設です。補聴器外来を、補聴器適合判定医・補聴器相談医・認定補聴器技能者で担当します。
・補聴器購入の医療費控除の条件
補聴器の購入前に補聴器相談医の資格を持った医師の診療をうける必要があります。
はなの病気
副鼻腔炎(ちくのう)
「副鼻腔」は中央の空気の通り道の「鼻腔」から枝分かれした空洞です。小さい穴でつながっていて、空気のやりとりをしています。空洞の表面の粘膜が粘液を産生し、線毛という小さい毛が沢山生えていて、鼻腔の方に押し出されます。
細菌やウイルス感染が原因で炎症がおこって、副鼻腔の通り道が閉塞すると、粘液が排泄されなくなり、膿がたまった副鼻腔炎の状態になります。
診断は、鼻の中をカメラでのぞいて、副鼻腔からの膿汁の流出を確認します。場合によっては、レントゲンやCTを撮影することもあります。
治療は、抗菌薬を使用します。症状が改善しない場合は、慢性副鼻腔炎に移行していると考え、マクロライド系の抗菌薬を少量で長期(2-3ヶ月)飲み続ける治療を行います。
治療でも症状が軽減しない場合は、治療効果を判定するためにCTを撮影します。
急性副鼻腔炎で中鼻道から
流出する鼻汁
好酸球性副鼻腔炎について
アレルギー性鼻炎と舌下免疫療法
アレルギー性鼻炎には、スギやヒノキ・カモガヤなど、花粉による季節性のものと、ダニやハウスダストなどによる通年性のものがあります。
治療法は、①薬物で症状をおさえる治療、②手術による治療に加えて、③免疫療法があります。
免疫療法は、注射による皮下免疫療法がありましたが、2014年から舌下に薬を投与する舌下免疫療法が保険診療として新たに始まりました。
舌下免疫療法の詳細については、アレルゲン免疫療法ナビを参考にしていただければと思いますが、以下に舌下免疫療法についての簡単な紹介をしておきます。
舌下免疫療法
- □80%以上の方には効果があります。50%程度の方でかなり改善し、30%程度の方で改善傾向となります。
- □スギに対する治療は、スギ花粉が飛んでいない時期(6~12月)に開始します。ダニに対する治療は、いつでも開始できます。
- □最低3年以上、毎日内服を続けます。
- □講習を受講済みの医師しか処方できません。
- □アレルギーをもつ患者さんにアレルゲンを投与するため、口腔内が腫れたり、かゆみを生じたりする
副反応をおこすことがあります。 - □理論的には、アナフィラキシーという強いアレルギー反応を起こす可能性がありますが、
皮下注射に比べて重篤な副反応は少ないと報告されています。
のどの病気
慢性上咽頭炎に対するBスポット療法について
上咽頭擦過療法(EAT;いわゆるBスポット療法)とは?
上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)は炎症をおさえる薬を直接塗りつけることで症状の軽減を図る治療です。上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)は万能の治療ではありませんが、著効するケースもあり、通常の治療で改善しない場合は試してみる価値はあると思います。
いわゆるBスポットとは鼻の突き当たりの部分で、ロ蓋垂(のどちんこ)の裏側にある上咽頭のことです。 「鼻咽腔(Biinnku)の頭文字をとって、元東京医科歯科大学耳鼻咽喉科教授の堀口申作先生が「Bスポット」と命名されました。 上咽頭(Bスポット)は、鼻呼吸で必ず空気が通る場所なので、空気中のウイルス、細菌、汚れなどの影響をうけやすく、炎症を起こしやすい場所の一つです。 風邪のひき始めで鼻の奥の方がイガイガする感じがすることがありますが、この鼻咽腔(上咽頭;Bスポット)が炎症を起こしているのです。 上咽頭には咽頭扁桃(アデノイド)というリンパ組織があります。咽頭扁桃は、小児期に肥大し、大人になると縮小しますが、大人になってもリンパの流れや粘膜表面の血流が豊富です。 上咽頭で慢性的に炎症が続くことで、のどの違和感、後鼻漏、めまい、全身倦怠感など様々な症状が引き起こされることがあります。
慢性上咽頭炎(鼻咽頭炎)による症状
- ①上咽頭の炎症そのものから起こる症状
- ②病巣感染による症状
などがあります。
①上咽頭の炎症
- □ 鼻からのどにねばねばした粘液がおりてくる感じ(後鼻漏)
- □ 早朝の痰がらみ
- □ のどの違和感、のどに何かが貼りついたような感じ
- □ 鼻の症状がないのに、鼻づまりが続く
上咽頭(鼻咽頭;Bスポット)の炎症によって、咽頭違和感、後鼻漏、痰、耳閉感、片頭痛、肩こりなどが引き起こされることがあります。 上咽頭自体の炎症やそこからの関連痛により生じます。 例えば、片頭痛では上咽頭に痛みを引き起こすポイントがあるとも言われています。 炎症の強い時期は、のどの痛みもありますが、弱い炎症が続く時期になると、のどの痛み自体は感じなくなり、それ以外の症状だけが続くことになります。
②病巣感染による症状
ある組織で炎症が起き、免疫のシステムを介して離れた臓器に影響をあたえる状態を、病巣感染といいます。病巣感染症としては、IgA腎症、胸肋鎖骨過形成症、掌蹠膿疱症などが知られています。上咽頭(咽頭扁桃;Bスポット)も扁桃のようなリンパ組織で原病巣の1つであり、上咽頭炎も扁桃炎と同様に他の組織に影響を及ぼしている可能性があります。近年ではIgA 腎症に対する Bスポット療法の効果について腎臓内科の先生方から注目されています。
参考サイト
上咽頭の検査
細くて柔らかいファイバースコープを鼻腔から挿入し、上咽頭を観察します。慢性上咽頭炎では発赤・腫脹・痰の付着がみられます。 上咽頭擦過療法の経過中にも月に一回程度、ファイバースコープで実際に状態を確認していきます。
正常の上咽頭
軽度の上咽頭炎
重度の上咽頭炎
上咽頭擦過療法
(Bスポット療法)の実際
-
診察
診察椅子に座った状態で、鼻腔と上咽頭に麻酔液をスプレーします。塩化亜鉛という薬品をつけた綿棒を鼻の穴から入れて、上咽頭(鼻咽腔)に塗ります。必要に応じて、複数回行ったり、口からも行います。定期的に、ファイバースコープで上咽頭の状態を確認します。
-
並行する治療
について本治療は単独で行うものではなく、診療所でのネブライザー吸入・自宅での鼻洗浄・内服などの治療と並行して行う補助治療となります。とくに、鼻洗浄(鼻うがい)は、水分補給やうがいでは届きにくい上咽頭粘膜の乾きを防ぐために有効です。
-
治療後について
上咽頭の炎症が強いと、塩化亜鉛を塗る時に痛みを感じることがあります。治療後もしばらくヒリヒリしたり、少し血が混じることもありますが、数時間で治まります。
-
治療後の経過
について可能であれば週に2回程度の通院(難しければ週に1回程度)で、10回程度を基本としています。基本回数施行しても、症状や所見の改善がない場合は、一旦終了とします。症状や所見が改善傾向であれば、希望により継続していくことも可能です。
上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)を受ける上での注意すべきこと
- 炎症が強いほどしみるため、痛みを感じやすい治療となります。そのような方ほど炎症が強いので、治療を続けた方がよいです。患者さんからは、しみるような痛みが強いほど、その後は逆にスッキリとした感覚を覚える、という声が多くあります。炎症が治まってくれば痛みも減りますので、痛くても治療を続けることをおすすめします。
- 薬を塗ったあと、鼻水やつばに血が混じることがあります。炎症が強い場合、血がにじみやすくなります。痛みと同じように、治療を継続して、炎症が治まると出血も減ってきます。
- 処置のあと、鼻水や痰が数時間ほど続くことがあります。これは薬の刺激に反応しているものですので、心配ありません。また、塩化亜鉛の溶液を飲み込むと、胸焼けが起こることがあります。
- 治療をしていると、一時的に、症状が強くなったり、今までになかった症状(頭の重さや顔の腫れぼったさなど)がでることがあります。これは上咽頭(鼻咽腔;Bスポット)の炎症が強いことが原因と言われてます 。
- 定期的にファイバー検査で上咽頭(鼻咽腔;Bスポット)をチェックしたうえで、治療を継続する必要があるかを確認します。
- 当院の上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)は保険診療です。自費診療ではなく、保険診療として、通常の処置・治療の範囲内で受けることができます。
- 当院では18歳以上の方を対象としています。(ただし、IgA腎症などの病巣感染症は除きます)
- 上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)は単独で行うものではなく、診療所でのネブライザー吸入・自宅での鼻洗浄・内服などの治療と並行して行う補助治療です。とくに、鼻洗浄(鼻うがい)は、水分補給やうがいでは届きにくい上咽頭粘膜の乾きを防ぐために有効です。
- 上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)は、主に上咽頭(鼻咽腔;Bスポット)に対する治療で、何にでも効果があるわけではなく、改善の程度は人によって異なります。当院では、基本回数の処置後も症状の改善がない場合、漫然と治療を継続しないようにしています。
- 病巣感染症を含む様々な疾患の患者さんで、原病に対する診察や治療なしで、上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)のみの治療を希望されても、お受けできません。この治療法がどうして効果があるのか、現時点では明確なエビデンス(証明)がないため、あくまで補助的役割の治療であるとご理解ください。
- 上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)について、現時点では、耳鼻咽喉科医師の間でも懐疑的な見解もあります。ただし、咽頭炎に対してルゴール液などを塗布する治療は日常的に行われています。現代ほど抗菌剤が発達していない時代に始まった古典的な治療です。その後、1960年代に堀口申作先生が慢性上咽頭炎という疾患概念、そして塩化亜鉛を上咽頭に塗布する治療法「Bスポット療法」を提唱しました。きちんとした理解がないと「すべて慢性上咽頭炎が原因だ」との偏った考え方になることがあります。上に述べたことを、よくご理解ください。
日常的にファイバースコープでのどを観察していると、上咽頭に炎症をもつ人が思いのほか多いという印象があります。上咽頭の炎症は薬では改善しにくく、いつまでもくすぶりがちです。上咽頭擦過療法(EAT;B スポット療法)を並行することで炎症の改善が図れることがあります。すべての方の症状が改善する治療ではありませんが、当院ではお悩みの方に対し、改善を期待できる治療法の一つとしてご提案しています。はじめは治療の時に痛みを伴うことがありますが、少し続けてみましょう。続けることで長年のつらい症状の改善がみられるかもしれません。
上咽頭擦過療法(B スポット療法)についてのよくある質問
具体的にどのような治療を
行うのですか
上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)は塩化亜鉛という薬品をつけた綿棒を鼻から入れて、上咽頭(鼻咽腔)に直接塗りつけることで症状の軽減を図る治療です。上咽頭擦過療法(Bスポット療法)とは?の記載を参考にしてください。詳しくはこちら
上咽頭擦過療法
(EAT;Bスポット療法)は痛いですか
収れん作用により患部を刺激して正常化を促す治療なので、炎症が強い方ほどしみる、大変痛みを感じやすい治療となります。痛いほど炎症が強いので、治療を続けた方がよいです。痛みは消毒薬を傷口に塗ったような「しみる」感覚に近く、治療初期では処置後数分~数時間痛みが残ることがありますが、次第に落ち着いてきます。患者さんからは、しみるような痛みが強いほど、その後は逆にスッキリとした感覚を覚える、という声が多くあります。治療を繰り返して、上咽頭(鼻咽腔)の炎症が治まりだせば痛みも減っていきます。当院では上咽頭を擦過する際に痛みを抑えるスプレーを鼻の中に噴霧することで痛みを和らげるように工夫しています。また、処置後の副反応として、一時的に鼻水が増えたり、後鼻漏などの症状が強く出たり、頭が重く感じたりする場合もありますが、通常数時間~遅くとも翌日には治まりますので、心配ありません。
治療後の食事の
制限はありますか
食事や飲み物の制限はありません。
通院のペースや期間は
どのくらいですか
各症状の重症度や罹病期間などで異なりますが、炎症の強い時期は、可能であれば週に2回程度の通院で、難しければ週に1回程度の通院で行います。回数は、10回程度を基本としています。基本回数施行しても、症状や所見の改善がない場合は、一旦終了とします。症状や所見に改善が見られれば、希望により週に1回程度で継続することも可能です。また、後鼻漏やIgA腎症などは、効果がでるまでに時間がかかる場合があります。
どのような症状・疾患に
効果がありますか
上咽頭の炎症により、咽頭違和感、後鼻漏、痰、耳閉感、片頭痛、肩こりなどが引き起こされることがあります。これらの症状に一定の効果があります。
病巣感染巣・慢性上咽頭炎(鼻咽頭炎)による症状の記載を参考にしてください。詳しくはこちら
保険診療ですか
当院の上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット治療)は保険診療です。ネブライザー・ファイバースコープによる観察などを含め、自費診療ではなく、通常の処置治療の範囲内で受けることができます。
何歳から行えますか?
妊娠中でも受けられますか
上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット治療)の年齢制限は特にありませんが、痛みのある治療ですので、当院では18歳以上の方を対象としています。 (ただし、IgA腎症などの病巣感染症は除きます)
また、上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)は上咽頭への局所処置なので妊娠中・授乳中の方でもお受けいただけます。
塩化亜鉛を用いた上咽頭擦過療法
(EAT;Bスポット療法)は安全ですか
上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット治療)の安全性自体を評価する臨床試験はありませんが、治療自体は1960年代より行われており、治療の第一人者である堀口申作先生(東京医科歯科大学初代耳鼻科教授)や約10万回以上の治療経験がある谷俊治先生(東京学芸大名誉教授)も安全性には問題ないとされています。ただし、上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット治療)で嗅覚が低下した例がまれにあるようですので、当院では嗅覚に関係する部分への塩化亜鉛塗布は避けるようにしています。
慢性上咽頭炎を予防するには
どうすれば良いですか
慢性上咽頭炎の再発を予防するには、「粘膜の乾燥」に注意が必要です。粘膜の乾燥により、細菌やウイルスがつきやすくなります。水分補給や鼻呼吸を意識することが重要です。当院の治療に並行して行う「鼻うがい」も有効です。
鼻うがい(鼻洗浄)に
ついて教えてください
鼻うがいでは、鼻腔内の花粉・ほこりなどを洗浄しながら、鼻粘膜の乾燥を防ぎます。また、生理食塩水を使用することで鼻づまりの症状も軽減し、鼻呼吸がしやすくなる働きもあります。生理食塩水を作製するための粉末(十塩吸)は外来で処方します。生理食塩水を使用することで、鼻が「ツーン」としみることがありません。鼻洗浄用のボトルは、当院にも置いてありますので、必要な方はお申し出ください。
鼻うがい(鼻洗浄)の機器は
どこで購入すればいいですか
上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット治療)と並行して、自宅での鼻洗浄を推奨しています。食塩水で上咽頭を洗い流すために、鼻洗器が必要です。薬局やインターネットで購入できます。当院にも、「ハナクリーンS」を置いてあります(ネット通販より少しお得です)。必要であればお申し出ください。
IgA腎症に上咽頭擦過療法
(EAT;Bスポット療法)は
効果がありますか
明らかな効果を示す臨床試験はありませんが、IgA腎症に対する治療として扁桃摘出術後のステロイドパルス療法を提唱された、腎臓内科医の堀田修先生が上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)の効果について述べられています。当院は耳鼻咽喉科ですので、IgA腎症自体の評価や治療を行うことはできません。しかし、基本的に大きなリスクを伴う治療ではありませんので、標準治療を行っても腎機能の改善がみられない患者さんが、腎臓内科の治療に並行して、上咽頭擦過療法(EAT;Bスポット療法)を補助的治療として行うことは問題ないと考えています。ただし、現病に対する検査と治療をしっかりと受けているということが最低条件です。詳しくはこちら
いびき・
睡眠時無呼吸症候群
大人のいびきはのど(上気道)で発生します。日常的にいびきが強く、いびきといびきの間に呼吸が止まってしまうようないびきをかく場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があり、注意が必要です。ただし、本人は寝ているため、なかなか気づくことができません。
寝ている時に
- □ 大きなイビキを指摘された
- □ 息が止まる
- □ 息苦しくて、目が覚める
- □ トイレに何度も行く
起きてる時に
- □ 強い眠気がある
- □ 座ると居眠りする
- □ 記憶力や集中力が低下する
- □ いつも疲労感がある
いびきをかかない人に比べて、高血圧や脂質(コレステロール)異常症・糖尿病などのリスクが高くなると言われています。
詳細は国立循環器病研究センターのホームページや無呼吸ラボを参照下さい。
診察と検査の流れ
当院では入院検査が出来ませんので、中等度睡眠時無呼吸症候群の場合は、入院での睡眠時無呼吸検査を他院に依頼することとなります。
感染症対策
感染予防対策のため、以下のご協力をお願いします。
- □37.5度以上の発熱がある方は別室をご案内するか、車で待っていただきますので、受付にお申し出ください。
- □来院の方への検温をお願いしています。受付で測定しますのでご協力ください。非接触型の体温計もありますので、ご希望の方はお申し出ください。
当院の感染予防対策
-
患者さん用アルコールを設置
医院入り口、中待合室、ネブライザーコーナーなど、ドアノブなど院内を触る可能性の高い場所にアルコール消毒液を用意しています。接触での感染を予防するため、非接触性のディスペンサーを採用しています。また、洗面所の石けんについても、非接触型のディスペンサーを採用しています。
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スタッフの手指消毒の徹底
スタッフの手洗いとアルコール消毒を徹底しています。
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スタッフの感染予防の徹底
スタッフ全員が、毎日の検温や健康管理を徹底しています。業務中はマスクを着用し、必要に応じてフェイスシールドやゴーグルなどを追加します。
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院内消毒と換気について
待合室・ドアノブ・手すり・椅子・トイレ・体温計・記入ボード・キーボード・マウスなど不特定多数の方が接触する箇所は、室内清掃だけでなく、定期的にアルコールによる除菌を行っています。院内は常時換気により強制的に換気を行っていますが、定期的に窓を開放することによる換気を徹底しています。さらに、ウイルスの不活性化を行うため、各室に空気清浄機を稼働させ感染予防に取り組んでいます。
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機器の消毒、滅菌
使用した医療器具は、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌機)で滅菌を行います。内視鏡は自動洗浄器で消毒を行っています。また、ネラトンカテーテルなど、完全滅菌ができない器具を再利用することもありません。
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院内滞在時間の短縮
チェックオンによるWeb順番受付を行っています。待ち人数が分かり、診察順が近づけばメールでのお知らせもありますので、長時間待合室で待つ必要がありません。Web順番受付に引き続いて、Web問診を入力いただければ、時間の短縮になります。
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自動釣銭機の導入
会計時に金銭のやりとりによる接触がありません。また、会計時間の短縮にもなり、院内滞在時間の短縮にもつながります。
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受付のガラスシールド
受付のウイルスシールドは強化ガラスを使用しています。アクリル板やビニールシートは傷がつきやすく、傷の部分にウイルスや菌が残りやすくなります。強化ガラスはアルコールでの除菌に適しています。
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雑誌やおもちゃなどの撤去
不特定多数の方が触れるものの、除菌が難しい雑誌やおもちゃなどの備品を撤去しています。